離婚のご相談時によくあるご質問

離婚すると、子どもの氏はどうなりますか?

離婚をすると、婚姻によって氏を改めた夫または母の氏は民法上当然に婚姻前の氏に復します(「復氏」といいます)。婚姻時に使用していた氏をそのまま使うためには、離婚の日から3ヵ月以内に市区町村役場へ届出をすることが必要です。

しかし、子どもの氏については、子どもが復氏をした親のもとで監護されているとしても、法律上当然には変更されません。そのため、別途、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立てを行う必要があります。

離婚により氏が結婚前のものに戻るとして、戸籍はどうなりますか?

結婚前の戸籍に戻るか、自分が筆頭者になる新しい戸籍を作るかを選択できます。

離婚すると氏はどうなりますか?

結婚をすると、夫婦は同氏を名乗らなければなりません。これを夫婦同氏の原則といいます。
他方、離婚すると結婚によって改めた氏が婚姻前のものに復することになります。
ただし、婚姻時に使用していた氏をそのまま使うことも可能です。その場合、離婚の日から3ヵ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」(「婚氏続称届」ともいう)を本籍地または所在地の市区町村役場へ届け出る必要があります。

すでに年金を受給中なのですが、年金分割することはできますか?

年金分割については、合意分割・3号分割の2種類があります。いずれも、すでに年金を受給中であっても年金分割が可能です。ただし、分割請求の期限は、原則として離婚をした日の翌日から2年となっていますので、注意が必要です。

合意分割は平成19年4月1日以降に離婚する場合が対象で、按分割合(分割対象となる婚姻期間中における当事者双方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)合計額のうち、分割を受けることによって増額される側の、分割後の持ち分割合)を取り決める必要があります。

一方、3号分割とは平成20年4月1日以降の婚姻期間を対象として、同年5月1日以降に離婚した場合に、国民年金の第3号被保険者(国民年金の加入者のうち、厚生年金保険に加入している会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者)が使う制度です。平成20年4月1日以前の婚姻期間に納めた年金は、合意分割の対象となります。3号分割は、当事者の一方から分割の請求があれば、当然に2分の1の按分割合で分割されます。年金額が改定されるのは、請求のあった日の翌月からです。

すでに年金を受給中の方であれば、数十年も先に年金を受給する若年離婚の場合よりも年金分割の利益をすぐに受け取れますし、長期の婚姻期間に応じた厚生年金記録の分割となるので利益も大きい場合が多いでしょう。

すでに夫と離婚してしまったのですが、年金分割することはできますか?

できる可能性があります。

離婚後であっても、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内であれば年金分割の請求を行うことができます。しかし、2年以上経過してしまった場合には、原則として年金分割は請求できなくなってしまいますので、ご注意ください。

配偶者が合意分割に応じてくれません。どうすればよいですか?

年金分割に関して、話合いで合意に至ることができない場合には、分割の割合(按分割合)を定めるべく家庭裁判所の手続を利用することになります。

具体的な手続としては、離婚が成立していない場合は離婚調停に付随して申立てをします。離婚が成立している場合には、按分割合を定める調停あるいは審判の申立てをすることになります。

年金分割した場合の年金見込額をあらかじめ知ることはできますか?

年齢が50歳以上の方や障害年金の受給権者であれば知る方法があります。

配偶者の年金の加入状況等について、年金事務所等を通して厚生労働大臣から情報の提供を受ける手続(年金分割のための情報提供請求)があります。50歳以上の方や障害年金の受給権者は、この手続の際に希望することで、(1)年金分割を行わない場合、(2)分割の割合(按分割合)を上限の50%とした場合、(3)分割の割合(按分割合)を本人の希望する割合とした場合の、3つのケースにおける年金見込額の通知を受け取ることができます。

年金分割制度ができたことで熟年離婚が増えたといわれていますが、年金分割制度の仕組みについて教えてください。

①年金の仕組み

まず、年金の仕組みを説明します。
すべての国民に支給されるのが基礎年金(国民年金)です。支給される基礎年金には、老後に受ける老齢基礎年金、病気やケガなどで障害を負った場合に受ける障害基礎年金、亡くなった人の遺族が受ける遺族基礎年金の3種類があります。加入者各人に対して1つの基礎年金が受けられる仕組みであるため、同時に2つ以上の年金、たとえば、老齢基礎年金と障害基礎年金が受け取れる場合には、いずれか1つを選択しなければなりません。基礎年金の保険者は政府であり、被保険者は、日本国内に住所があり、20歳以上60歳未満の、原則としてすべての人となります。国籍は問いません。この被保険者は、保険料の納め方などの違いから図の3種類の被保険者に分かれます。

図の第1号被保険者は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の、第2号被保険者にも第3号被保険者にも該当しない人です。20歳以上の学生や、自営業者、無職の人がこれにあたります。
図の第2号被保険者は、厚生年金に加入している人です。サラリーマンや公務員は厚生年金に加入していて保険料は給料から天引きされていますので、個人で別途支払う必要はありません。
図の第3号被保険者は、原則として第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者です。第3号被保険者となるには、年収が130万円(60歳以上の人、障がい者は180万円)未満で、かつ扶養している第2号被保険者の年収の半分未満であること(同居の場合)が条件となります。ただし、年収が130万円未満であっても、厚生年金保険の加入要件にあてはまる方は厚生年金保険及び健康保険に加入することになるため、第3号被保険者には該当しません。

また、厚生年金には国民年金が含まれており、厚生年金に加入すると国民年金にも加入したことになります。
なお、平成27年10月1日に「被用者年金一元化法」が施行され、それまで厚生年金と共済年金に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金に統一されています。

以下で説明する年金分割の制度を利用することができるのは、第3号被保険者に加入していた配偶者、結婚期間中共働きをしていた第2号被保険者です。残念ながら、基礎年金しかない第1号被保険者については、年金分割制度は認められていません。

②年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録、具体的には、これまで支払ってきた厚生年金保険料の算定の基礎となった標準報酬額(標準報酬月額及び標準賞与額)を分割する制度です。

分割の方法には、合意分割と3号分割があります。どちらも、年金分割の請求期限は原則として離婚した日の翌日から2年以内です。

合意分割とは、夫婦が、分割することおよびその分割割合(按分割合)について合意すれば、離婚時において、婚姻期間の保険料納付実績を、最大2分の1の按分割合で分割できるという制度です。合意ができない場合は、夫婦の一方が家庭裁判所に審判を申し立てれば、裁判所で按分割合を決定することもできます。

3号分割とは、配偶者の一方が第3号被保険者であった場合、請求により、他方配偶者(第2号被保険者)の保険料納付実績の2分の1を自動的に分割できる制度です。この制度は、平成20年4月以降の保険料納付実績に適用され、それ以前の保険料納付実績の分割は、合意分割によることになります。

相手の年金の額・加入状況・分割した場合の具体的な年金の金額(情報提供の請求をする者が満50歳以上である場合等)を知りたい場合は、年金事務所に、「年金分割のための情報提供請求書」を提出して、情報提供を受けることができます。その際、離婚を検討していることを相手方に知られたくなければ、自分だけに通知するよう申し出ることができます。

離婚の際、慰謝料や財産分与などお金についてはお互いに何も請求しないと取り決めましたが、離婚後、元配偶者が婚姻期間中に不倫(浮気)していたと発覚しました。この場合、慰謝料は請求できますか?

離婚の際に調停調書や公正証書などの書面を作成した場合、「本件離婚に関し、お互いに債権債務がないことを確認する」、「名目を問わず何ら財産上の請求をしないことを約束する」といった文言が記されることがほとんどです。
これを「清算条項」といい、清算条項を取り決めた以上は、損害賠償や財産分与の権利・義務などを放棄もしくは免除したと考えられます。したがって、元配偶者に慰謝料を請求することは困難です。

一方で、厳密に取決めをしていない場合、不貞行為を知らなかったのであれば、錯誤(=勘違い)を主張し、取決めを取り消して慰謝料を請求できる可能性があります。ただし、不貞行為を知らなかったことから、不貞行為と離婚との間に因果関係がなかったとして、慰謝料が認められない場合もあります。

注意すべきなのは、あくまで夫婦間の取決めである以上、不貞相手に対する請求権までは放棄していないという点です。
そのため、仮に元夫に慰謝料を請求できない場合でも、不貞が原因で婚姻関係が破綻したといえる場合には、不貞相手に対しては慰謝料を請求できます。請求権が時効で消えてしまわないうちに請求をすることが必要です。

慰謝料を請求したい

夫婦で離婚を話し合っているのですが、夫が「愛犬は絶対に渡さない」と言っています。離婚した場合、ペットの所有権はどうなりますか?また、ペットを引き取った場合、養育費はもらえますか?

犬などのペットは、法律上は物として扱われます。そのため、離婚に際しては、家や車などと同じく、財産的価値があれば「財産」として財産分与の対象となり得ますが、財産的な価値はつかないことが多いと思われます。どちらにしても、離婚する際に夫婦で協議して離婚後にどちらがペットを所有し飼育するかを決めることとなります。
仮に財産分与の対象になったとしても、生き物であるペットを半分に分けることはできませんので、引取りを希望する側がほかの財産を譲ったり、あるいは相応額の金銭を支払うことによって所有権を得る形が一般的です。

また、子どもと違い、ペットに対する養育費の支払義務はありません。原則として、ペットの飼育にかかる費用は引き取った側が負担することとなります。ただし、離婚する際の条件として、費用の一部負担をお願いしたり、その分を慰謝料に上乗せするといった形で支払を受けることは可能です。

なお、財産分与は「婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産」を分ける制度ですので、結婚する前から飼っていたペットは原則としてその対象になりません。その場合は、結婚前に飼っていた側に所有権があります。

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